2016年3月16日水曜日

習氏、昨年7月に「株価工作」の極秘指令 米メディア暴露

中国・上海株の暴落が加速していた昨年7月、習近平国家主席が手書きの文書で、株価維持を事実上命じていたことが分かった。異例の指令書で重大な危機感を示したにもかかわらず、国内外の投資家は総スカンで、株価対策も失敗に終わった。一方、人民元の国際通貨化も看板倒れで、当局は買い支えに必死という惨状だ。共産党一党独裁下の市場経済という大いなる矛盾が浮き彫りになっている。

 習主席による異例の「株価維持指令」を報じたのは米経済メディアのブルームバーグ。

 上海株総合指数がバブル的に暴騰した後、雪崩のような暴落が続いていた昨年7月、株価対策を話し合う会議で、習主席が「個人投資家の利益を確実に保護するように」という内容の指示を調査報告書に走り書きしたという。

 「国のトップが株価に危機感を持つこと自体は悪いことではないが、習政権の場合は意味が違う」と語るのは、中国経済に詳しい評論家の上念司氏。

 「リーマン・ショック以降、実体経済が悪いことを隠して無理やり相場を支えてきたが、いよいよ隠しきれなくなったことへの危機感という側面が強いのではないか」とみる。

 習主席の指令を受けてか、中国当局は空売りの取り締まりや大株主の保有株売却禁止、国内メディアへの報道規制などの株価維持策を矢継ぎ早に打ち出した。そして証券会社などに株を買うよう要求、当局の資金によるとみられる買い支えも続けた。

 これでいったん株価は下げ止まったものの、今年に入って再び暴落、株価を安定させるために導入した値幅制限制度「サーキットブレーカー」もかえって下げを加速させた。2月には市場混乱の責任を取る形で、証券当局のトップを事実上更迭してしまった。

 習政権は反腐敗運動を大義名分に官僚や企業経営者らを次々摘発しており、同じ手法を市場経済にも持ち込んだ形だが、上念氏は「株価も関係者を取り締まれば維持できると誤解している節があるが、やればやるほど投資する人がいなくなるだけだ」と指摘する。


記事URL
http://www.zakzak.co.jp/society/foreign/news/20160312/frn1603121530001-n1.htm



2016年2月11日木曜日

中国発の大恐慌は不可避

中国経済はもはや破綻が起きるか否かが問題ではなく、いつ起きてもおかしくない状況なので、もはや経済政策の打ち手はないと経営コンサルタントの大前研一氏はいう。それでも危機を回避するにはどうしたらよいのか、大前氏が解説する。

 かつてアメリカのフランクリン・ルーズベルト大統領が世界恐慌(1929年~)を克服するために行なったニューディール並みの政策で有効需要を創出しようと思っても、すでに中国では高速鉄道、高速道路、空港、港湾、ダムなどの大型インフラはあらかた整備済みで、乗数効果のあるインフラ投資の領域は見当たらない。

 しかも、一人っ子政策を続けてきたせいで今後は高齢化が急速に進展するが、介護や年金などの社会保障を支える人材・予算が大幅に不足している。

 さらに「理財商品」という隠れた爆弾もある。これは短期で高利回りをうたった資産運用商品で株式ブームの前に人気となり、集まった資金が主に地方政府の不動産開発やインフラ整備などの投資プロジェクトに流れたとされる。今後はそれらの投資プロジェクトが行き詰まり、理財商品を発行した「影の銀行」が損失を受けてデフォルト(債務不履行)を起こす可能性があるのだ。日本のバブル崩壊でノンバンクが次々に倒れたのと同じ現象だ。

 そして、中国国内で投資先を失ったお金のエクソダス(大脱走)が加速している。人民元は個人は年間約120万円しか海外に持ち出せないが、中国本土から人民元を香港などに違法に送金する「地下銀行」を運営していた300人余り、総額8兆円近くが摘発された例もある。資金の海外流出は必然的に人民元安と株安につながる。

 鳴り物入りでスタートした中国主導のAIIB(アジアインフラ投資銀行)も、中国にはプロジェクトを審査して遂行していく能力があるマネジメント経験者がいないから、ことごとく失敗するだろう。


記事URL
http://www.zakzak.co.jp/society/foreign/news/20160209/frn1602091846006-n1.htm



2016年2月7日日曜日

中国経済もはや重篤なのか 食い止められない資本流失

 日銀の黒田東彦(はるひこ)総裁が個人的見解としたうえで、中国の人民元について「国内金融政策に関して一貫性があり適切な方法として、資本規制が為替相場の管理に役立つ可能性がある」と述べたと報じられた。

 物やサービスの移転を伴わない対外的な金融取引のことを資本取引という。日本の外為法では、居住者と非居住者との間の預金契約、信託契約、金銭の貸借契約、債務の保証契約、対外支払手段・債権の売買契約、金融指標等先物契約に基づく債権の発生等に係る取引、および証券の取得または譲渡-などが定められている。

 このほかにも、居住者による外国にある不動産もしくはこれに関する賃借権、地上権、抵当権等の権利の取得、または非居住者による本邦にある不動産もしくはこれに関する権利の取得も、資本取引とされている。

 こうした取引は、金融機関を通じて行われるので、資本取引を規制しようとすれば、金融機関を規制することとなる。規制の方法としては、全面禁止、取引許可、取引届出、取引報告などがあり、前者から後者にいくにつれて規制が弱くなる。

 黒田総裁が指摘した、為替管理と資本取引の関係を理解するには、「国際金融のトリレンマ(三すくみ)」を知る必要がある。それは、「独立した金融政策」「固定為替相場制」「自由な資本移動」のうち、2つまでしか同時に達成することはできないというものだ。

 この法則に従うと、資本取引規制によって自由な資本移動をあきらめれば、独立した金融政策と固定為替相場制を達成できる。つまり、国内物価の安定のために金融政策を使うことが可能となり、為替相場も安定させられるというわけだ。

 中国の資本規制は原則として許可制で、先進国が原則として報告だけなのに比べて格段に規制が強い。それでも香港などを経由した資本流出の動きを食い止められないようだ。

 もっとも、中国が本気になれば規制強化は容易だろう。なにしろ、中国では、問題を起こしたとして摘発された場合、政治的失脚までありえるからだ。



記事URL
http://www.zakzak.co.jp/society/domestic/news/20160206/dms1602061000006-n1.htm




2016年2月6日土曜日

中国経済破綻はいつ起きてもおかしくない状況

 2016年になってから中国経済の不安定性がますます目立っている。いったい、中国経済の将来はどうなるのか、経営コンサルタントの大前研一氏が今後の展望を予測する。


中国経済の変調が著しい。年明け早々、上海株が暴落して株式市場が混乱し、為替相場では人民元安が進んでいる。また、中国税関総署が発表した2015年の貿易統計によると、輸出と輸入を合わせた貿易総額は前年比8%減の3兆9586億4400万ドルで、リーマン・ショックの影響があった2009年以来6年ぶりの減少となった。

 この問題の根本は“コントロール・フリーク(管理しないと気が済まない人)”の中国政府にある。
 まず農民から収奪した土地を工業団地や商業地などに転換して不動産バブルを演出したものの、供給が需要を大きく上回ってマンションやショッピングモールが「鬼城(ゴーストタウン)」だらけになってしまった。そこで習近平政権は投機の受け皿を不動産から株にシフトし、株投資を煽って株高に誘導した。不動産の次は株の官製バブルを演出したのである。

 だが、それは政府がやるべき仕事ではない。株価というのは将来得べかりし企業収益の現在価値である。企業の業績が良くならない限り、株価は上がらないのである。その基本を中国政府は理解せず、株式市場にカネを突っ込んで、なりふり構わぬPKO(株価維持策)を続けた。

 しかし、中国企業の業績は伸びていないから、当然の結果として株価は昨夏から下落し始めた。すると今度は大量保有株主の株式売却を禁止し、違法売買の摘発を強化した。だが、株価が下がっている時に株を売れないことほどストレスとなることはない。そのため、年明けの市場再開と同時に株価は大幅に下落した。

 
 相場の急変時に取引を停止する「サーキットブレーカー」制度を5日間で2回も発動したが、それがまた呼び水となって、さらに株価が下落するという悪循環に陥ってしまった。
 これら一連の動きから、中国政府は資本主義経済を全く理解していないということが露呈したので、いま世界中がある種のパニック状態だ。中国政府はヨーヨーをやっているような感じで上へ下へと経済をコントロールしようとしてきたわけだが、いまやヨーヨーの紐が伸びきってコントロール不能になってしまった。

記事URL
http://news.livedoor.com/article/detail/11150481/



2016年2月2日火曜日

中国株「三番底」へ…欧米専門家が指摘

経済が失速する中国を見限る声が欧米で相次いでいる。英国の重鎮エコノミストは、中国株はここからまだ15%も下がり、その後の反発も弱々しいと予測、米投資会社は中国市場が魅力的だった10年は終焉(しゅうえん)を迎え、日本株の投資妙味が増していると指摘している。

 中国株式市場の代表的な指標である上海総合指数は26日に大幅反落し、前日比6・42%安の2749・79で取引を終えたが、「2500まで下がる」とさらなる暴落を予測するのが、英国在住のエコノミスト、ジョージ・マグナス氏。昨年7月に中国株式市場の混乱がさらに深刻化すると予測して的中させたことでも知られるマグナス氏は、米経済メディア、ブルームバーグに対して上海株が一段安になると語った。

 上海株は昨年6月に暴落した後、今年に入って再び弱気相場入りした。このところは低位安定しているが、今後「三番底」をつけるというわけだ。その後に持続的に上昇するには、中国のソフトランディング(軟着陸)と経済の構造転換が必要となるが、「個人的には楽観的ではない」と述べている。

 中国株から逃げ出して日本株に投資すべきだと強調するのは、米投資会社で約22億ドル(約2600億円)の資産を運用するタイヨウ・パシフィック・パートナーズ。

 前出のブルームバーグによると、同社のブライアン・ヘイウッド最高経営責任者(CEO)は、最近の円高で「日本はより安全な投資先と見なされる」と指摘。過去10年間は中国の方が魅力的な市場だったが、投資リスクでは日本がより安全だとする。

 貿易面でも中国の失速は鮮明だ。2015年の貿易統計(速報、通関ベース)では、日本から中国への輸出額が前年比1・1%減と、3年ぶりに減少に転じた。15年12月の貿易収支でも、中国向け輸出は前年同月比8・6%減で、5カ月連続の減少となった。

 週刊東洋経済元編集長の勝又壽良氏は、「このところ、中国株を売って資産逃避する人や、人民元を米ドルなど外貨に換金する動きが高まりつつある」と語る。

 中国から逃げる投資家の動きはさらに加速しそうだ。

記事URL
http://www.zakzak.co.jp/society/foreign/news/20160127/frn1601271550002-n1.htm

2016年1月22日金曜日

中国GDPに欧米から懐疑の声続々 「実際の成長率は4%」

2015年の実質国内総生産(GDP)が前年に比べ6・9%増と25年ぶりの低水準となった中国。ただ、この数字にも懐疑的な声が海外メディアなどで出ている。
 「中国の成長率データ あなたは信用しますか?」という見出しで報じたのは英BBCニュース電子版。「中国の成長率が誇張されていることはみんな知っている。政治的なジェスチャーとして、7%程度成長しているとを信じさせなければならない」とする香港のエコノミストの見解を紹介、「中国の成長率データは100%正確とは決して言えず、財政運営ではいまだ発展途上国だ」と断じている。
 米CNBCは「実際の成長率は4%」とする投資アナリストの発言を報じた。
 また、16年の成長率は6・5%程度を掲げるとみられるが、米経済誌フォーブス電子版は「最も懐疑的なエコノミストは16年の成長率は3%とみている」としたコラムを掲載している。
 「世界の工場」ともてはやされた中国だが、需要無視の過剰生産や過剰在庫で製造業が不振で、GDPと同時に発表された2015年の工業生産は14年の8・3%増から2・2ポイントも下降した。
 習近平指導部は経済成長の中心を、所得向上を背景にした個人消費やサービス業に移行させる方針。だが、中国のサービス業は金融関連が占める割合が大きく、昨年来の株価急落や不動産市況の低迷による打撃も大きいとみられる。
 高額な個人消費の代表格である新車販売は昨年8月まで5カ月連続で前年の水準を下回った。
 大和総研の斎藤尚登主席研究員は「消費は底堅い印象はあるものの伸びは弱くなっており、景気のけん引役が見当たらない状況だ」と指摘する。

記事URL
http://www.zakzak.co.jp/society/foreign/news/20160120/frn1601201700009-n1.htm

2016年1月20日水曜日

中国GDP、7%割れ 25年ぶり低水準

中国国家統計局は19日、2015年の実質国内総生産(GDP、速報値)成長率が6・9%になったと発表した。1990年(3・9%)以来、25年ぶりの低水準。政府目標の7%を下回り、あらためて減速ぶりを露呈したが、統計の信憑(しんぴょう)性への疑念は根強く、「実態はもっとひどい」との声もある。
 15年10~12月期の成長率は6・8%と、市場の事前予想の中央値(6・9%)を下回り、リーマン・ショック後の09年1~3月期(6・2%)以来の低い成長率に陥った。
 中国の14年の成長率は7・3%だったが、昨年7~9月期に6・9%まで低下しており、減速が止まらない状況だ。
 15年の成長率は市場の事前予想と合致したが、エコノミストの間では「GDPと密接な関係のある輸入が大きく減少していることから、実際の成長率はもっと低い」との指摘がある。
 投資、生産の不振が引き続き景気を圧迫しているほか、習近平政権による「政策リスク」も世界の市場に大混乱を招いている。
 習政権は昨年8月に突如、人民元の切り下げを打ち出すなど輸出のテコ入れを図ったが、目立った効果は上がらなかった。一方で人民元安が続くと当局が買い支えるなど、市場経済とはほど遠い為替誘導を続けている。
 中国は1978年に経済の改革・開放路線に転換、成長率が10%を超えた年も多く、2010年にGDPが米国に次ぐ世界第2位となった。だが、投資に過度に依存するいびつな成長を続けた結果、全国各地で売れ残った住宅在庫が積み上がり、鉄鋼やセメント関連企業は過剰な生産設備を抱えている。
 天安門事件の翌年で、米欧の経済制裁の影響を受けた1990年以来の水準に沈んだ中国。今年に入っても上海株が暴落するなど、中国経済への懸念は強まるばかりだ。

記事URL
http://www.zakzak.co.jp/society/foreign/news/20160119/frn1601191700004-n1.htm